2021年(令和3年度)9月16日定例県議会議事録

福羅浩一 一般質問、インターネット録画中継
問1 子どもの相談活動の状況と今後の体制の充実はどうか。また、子どもの居場所づくりに向け、どう取り組むのか。
【教育長答弁】
 1年半に及ぶコロナ禍により、学校内外で活動制限が長期化し子供たちの心身にも少なからぬ影響が生じている中、学校では、学級担任はもとよりスクールカウンセラー等専門職による子供たちの見守りを強化し、昨年度は、開校日が少なかった中で前年を上回る4万件余りの相談に対応したほか、全ての中高生を対象に開設したSNS相談でも、友人関係や心身の健康、学業・進路など幅広い内容について、年間600件を超える相談を受けている。
 こうした中、コロナ禍の収束が見通せないままに2度目の進学・就職シーズンを迎えるに当たり、県教委では、子供たちの不安や疲労の蓄積を考慮し、例年相談件数が増加する11月から1月の3か月間は、SNS相談の開設日を週2日から毎日に拡充し、問題が深刻化する前に気軽に相談できるよう体制強化を図りたいと考えている。
 また、子供たちの生活に潤いを与え、学びの機会を提供してきた放課後子ども教室や地域イベントも、コロナ禍による縮小が長期化していることから、子供たちの居場所づくりや体験交流活動を行う市町への支援を拡大することとし、必要な経費を9月補正予算案に計上しており、今後とも、子供たちが健やかに育つ環境づくりに取り組んで参りたい。

問2 島しょ部や中山間地域における小規模校の存続について、どのような方針で取り組んでいくのか。
【教育長答弁】
 本県の小規模校は、地域と連携した課題解決型学習を積極的に推進しており、今治・越智地区島しょ部の3校においても、島の企業の活動を研究する一環で海外研修も行う伯方グローカルプロジェクト、地域資源の磨き上げとPRを実践する大三島魅力化プロジェクト、島での仕事づくりに挑戦する弓削高校の起業家教育など、少人数ならではの顔の見える関係を活かし、自治体や地域住民の支援を得ながら、地域に根差した学びに主体的に取り組んでいる。
 一方で、少子化が進み、現行のままでは地域内で複数の小規模校が共倒れとなる事態も危惧される中、検討委員会の中間報告では、地域活性化の核としての学校の役割が再認識され、市町内唯一の学校や島しょ部の学校への特例措置、地域資源を生かした学科・コースの新設等による魅力化の推進などが提言されているところ。
 県教委としても、通学環境が劣る島しょ部や、地域から存続のための支援を受け成果が認められる学校については、一定の配慮が必要と考えているが、一方で、最も大切なことは「学校の存続」ありきではなく、「生徒により良い教育環境を提供する」ことにあり、それを第一義とした生徒本位の計画づくりを進めることとしており、今後とも、圏域ごとの地域協議会を通じ、地域の声をくみ取りつつ、生徒に選ばれる魅力ある学校づくりに取り組んで参りたい。

問3 えひめ地域政策研究センターのこれまでの実績と今後の取組みはどうか。
【企画振興部長答弁】
 えひめ地域政策研究センターは、地域づくりを主導する官民連携の要として、これまで、調査研究や提言、地域に根差した集落対策、地域づくり活動支援など、幅広い事業展開で地域活性化に貢献するとともに、市町や企業からこれまでに78人の研究員を受け入れるなど、人材育成や人的ネットワーク構築にも重要な役割を果たしてきた。
 特に近年は、喫緊の課題である人口減少に対応するため、これまでに培った市町や民間との連携をフル活用し、オンライン移住フェアの開催や、移住コンシェルジュによる丁寧な移住相談など、積極的な移住促進策を実施し、昨年度の移住者数は過去最高の2,460人となっている。
更に、南予地域への移住促進のため、今年4月に、内子町のコワーキングスペースに移住マネージャーを配置し、南予市町とも連携して受入態勢の強化を進めている。
 今後は、ますます激化する地域間競争を勝ち抜くため、本県の地域政策を主導する同センターと、地域活動の最前線に立つ市町や関係団体等との連携を一層深化させるとともに、センターとの協働のもと、移住先として選ばれる地域づくりや、交流人口・関係人口も取り込んだ担い手育成など、足下の地域課題に特化した取組みを重点的に展開して参りたい。

問4 アフターコロナを見据えて、しまなみ地域への誘客促進にどう取り組んでいくのか。
【知事答弁】
 国内外から今では、年間30万人を超えるサイクリストが訪れるしまなみ海道は、コロナ禍でのアウトドア志向の高まり等を追い風に、更なる来訪者の増加が期待されており、今後、本県側の魅力的な地域資源とも連携させながら、県内への一層の誘客促進を図る仕掛けづくりが極めて重要となってきている。
 このため県では、昨年度、来島海峡大橋の魅力向上に向けた愛称「クラウンブリッジ」の命名や、いわゆるインスタ映えするモニュメントの設置等に加え、外部専門家の助言等を踏まえた、架橋の桁外作業車体験やヨットクルーズ、無人島キャンプ等の新たな体験型コンテンツの掘り起こしのほか、宿泊施設向けの外国人対応講座の開催、住民のおもてなし活動への支援など、インバウンドにも訴求できる滞在型旅行商品の造成や受入態勢の強化に取り組んでいるところである。
 更に本年度は、しまなみツーリズムの多彩な魅力を伝える動画を作成し、コロナ感染状況を注視しながら、SNSでの広告配信やOTAサイトでの販売促進キャンペーンの準備を進めるとともに、新たに、ウインタースポーツが盛んな北海道の事業者と、季節毎にインバウンドを誘致し合う取組みについての協議も行っている。
 今後とも、地元の自治体や観光事業者、住民団体等と連携しながら、しまなみ地域が、国内外から多くの旅行者が訪れ、リピーターとなる滞在型観光エリアへと飛躍できるよう、鋭意取り組んで参りたい。

問5 本県産業のDXの推進に必要不可欠となる人材の確保・育成に、今後どのように取り組んでいくのか。
【知事答弁】
 生産年齢人口の減少や新型コロナの影響による企業を取り巻く環境が大きく変化する中、県内企業が経営力の強化を図っていくためには、デジタル技術を駆使し、製品・サービスやビジネスモデル、組織体制等を変革して、競争上の優位を確立する、いわゆるDXの推進が急務であり、経営層の意識改革はもとより、企業が求めるより実践的なIT人材を確保・育成していくことが不可欠と考えている。
 このため、県では、県内企業の技術者を対象にソフトウェア開発等に関する研修を実施し、平成30年度からの3年間で高度IT人材を200人以上育成してきた。これに加え、更なる産業分野のDXを進めていくため、企業の意思決定の鍵を握る経営層向けの意識改革セミナーや、豊富な知見を有する大学等との連携による、社内人材向けのデータ利活用啓発セミナーを実施するほか、IT人材と企業ニーズのマッチングを図り、専門家のコーディネートの下で実践的なインターンシップとフォローアップ研修を一体的に行うための経費を今回の補正予算案に計上したところ。
 今後とも、県内企業がDXを進めることで、既存の業務プロセスの変革や新たなビジネスモデルの創出により、経営課題を解決し、産業競争力の強化を実現できるよう、産学官が一体となって、高度IT人材を始め、産業分野のDX推進に必要な様々なレベルの人材の確保・育成に積極的に取り組んで参りたい。

問6 今後どのような方針で徴収確保対策に取り組んでいくのか。
【総務部長答弁】
 教育や医療・福祉などの県民サービスを支える自主財源である県税収入の安定確保に向け、県では、毎年度「徴収確保対策本部」を開催し、具体的な数値目標を設定した基本方針を策定するとともに、消費行動の変化に対応し、スマホ決済アプリなどキャッシュレス納付の導入を図り、利便性向上による自主納付促進と、特別滞納整理班による効果的・効率的な滞納整理を積極的に推進してきた。
 令和2年度については、新型コロナによる県税への影響が懸念されたものの、滞納繰越額の約7割を占める個人県民税の事業主による特別徴収の働きかけや税務職員の相互併任制度の全市町への拡大など現場の努力の結果、徴収率は99.21%と前年度を若干下回ったものの2年連続で全国1位となることができた。
 今後とも、今年度新たに5か年の数値目標として設定した徴収率等の達成に向け、納税者の置かれた状況に十分配慮しつつも、税負担の公平性の観点から、公正かつ厳格な滞納処分を行うとともに、税務署や市町と連携して、納税意識の向上への取組みの強化を図り、貴重な自主財源である県税収入の確保と県民に信頼される税務行政の確立に向け、職員が一体となって徴収確保対策に全力で取り組んで参りたい。

問7 県管理道路における防災対策の現状はどうか。また、今後どのように取り組んでいくのか。
【土木部長答弁】
 県では、近年の激甚化・頻発化する豪雨や南海トラフ地震等の自然災害に備え、「安全で信頼性の高い道路網」を確保するため、トンネル保全対策、橋りょう耐震補強及び法面対策など、事前の防災対策に積極的に取り組んでおり、なかでも、災害時の避難・救援活動を支える緊急輸送道路の対策を重点的に進めているところ。
 具体的には、これまで県管理道路の防災点検で対策が必要とされた2,588箇所について、昨年度末までに 1,766箇所が完了し、進捗率は68%となっている。このうち緊急輸送道路では、1,015箇所のうち913箇所が完了し進捗率が90%に達し、トンネル保全対策や橋りょう耐震補強が概ね完了するなど、重点化の成果が表れている。
 引き続き、緊急輸送道路の防災対策の早期完了を目指し、今回の補正予算案に関連事業費を計上するとともに、国の「5か年加速化対策」も最大限活用して着実に道路網の安全性を向上させるほか、大規模災害時に速やかに通行できるよう、国や業界団体と合同で道路啓開の訓練を実施するなど、ハード・ソフトの両面から、県民の安全・安心につながる道路の防災対策の推進に全力で取り組んでまいりたい。

2020年(令和2年度)9月16日定例県議会議事録(代表質問)

福羅浩一 代表質問、インターネット録画中継
問1 安倍政権に対する知事の評価はどうか。また、新政権に期待することは何か。
【知事答弁】
 安倍政権は、7年8か月にわたる安定的な政権運営のもと、経済再生を最優先に掲げ、大胆な金融緩和や積極的な財政出動により、企業業績の向上や株価の上昇、雇用情勢の改善等を実現するとともに、特に、外交面において良好な日米関係を構築し、積極的な首脳外交により国際社会での我が国の存在感を高め、通商交渉やオリ・パラ誘致等に実績を残されたことを評価しているところ。
 また、人口減少が進む地方に対し、地方創生を強力に推進し、地域活性化に向けた主体的な取組みを一貫して支援頂いた。さらに、西日本豪雨災害で、発災3日目に私が上京した際、安倍総理に深刻な被災状況を直接受け止めていただき、南予での大規模断水の迅速な復旧への支援や、肱川の治水対策をはじめとする防災・減災対策にご尽力を賜り感謝申し上げたい。
 一方で、我が国の持続的な発展に不可欠な成長戦略については、インバウンドの拡大等により地方経済にも好循環が生まれたものの、デフレ脱却等景気浮揚は限定的なものに留まったほか、社会保障制度と財政健全化の一体的な改革や地方分権改革に大幅な進展は見らなかったことと思う。二度の消費増税等で国民に負担を求めたにも関わらず、国民との約束である国会議員の定数削減など、身を切る改革が進まなかったことは残念に感じている。
 本日発足する新政権には、まずは何よりも新型コロナウイルス対策に最優先で取り組み、感染拡大の防止と落ち込んだ経済活動の回復への道筋を示すことで、国民の不安払拭に努めるとともに、人口減少や少子高齢化、災害からの復旧・復興、エネルギー政策など山積する諸課題について、国民目線に立った丁寧かつオープンな議論を展開し、地方や現場の声に真摯に耳を傾けていただきながら、スピード感を持って具体的な成果を出していただくことを大いに期待している。

問2 季節性インフルエンザの流行期の到来を見据え、多数の発熱患者に対応できる検査体制をどのように構築するのか。
【知事答弁】
 本県の新型コロナウイルスの感染状況は、7月下旬から散発的な感染は確認されているものの、関係機関が一丸となって囲い込みを行うことで、感染の拡大は食い止めており、7月以降の人口10万人当たりの感染者数は、8月末現在で47都道府県中44番目となっている。これもひとえに、感染回避行動の習慣化に努めていただいた県民の皆様のご理解と実践、ご協力によるものであり、感謝申し上げる。
 検査については、医師が必要と認めた場合は漏れなく、また、感染が確認された場合は、徹底した囲い込みと封じ込めを行うため、関係者に対し幅広にPCR検査を行うことを基本に、当初から対応してきたところ。このような中、国から、季節性インフルエンザの流行を見据え、これまでの検査体制等を見直し、発熱等の症状が生じた患者については、地域のかかりつけ医などの身近な医療機関に直接相談・受診し、必要な検査に繋げる体制を、地域の医師会とも協議・合意の上で整備するよう求められている。
 このため、現在、発熱患者に対する検査体制の構築について、県医師会の先生方の協力がなければ進まないため調整を進めるとともに、各圏域では、地域の医療資源の実情も考慮し、各医療機関で迅速に検査が行える抗原検査キットの活用の拡大や、ドライブスルー方式による検体採取などの検査方法について、地元市町や郡・市医師会等と協議を進めているところ。多数の発熱患者等の発生が予測される秋冬のインフルエンザの流行期においても、必要な検査が迅速に実施できるよう、今後とも医師会等と緊密に連携を図りながら、多くの医療機関で診療・検査を担う体制ができるよう、その構築に取り組んでまいりたい。

問3 現在の県内経済の状況をどのように捉え、感染予防と社会経済活動の両立に向けてどう取り組むのか。
【知事答弁】
 新型コロナウイルス感染症の影響により、世界各国で過去最悪のマイナス成長が見込まれ、国内景気の更なる後退も懸念される中、県内経済についても、生産や雇用の落ち込みが続いており、9月の県内主要62社への県調査では、9割以上が売上減少等の悪影響があると答えるなど、影響が長期化すれば幅広い業種の事業者が倒産・廃業の危機に直面するのではないかと危惧している。
 県では、いち早く立ち上げた無利子の県単融資制度の枠を2千億円に拡大し、8月末までに約6千件、金額として1,133億円の貸付を行い、企業の資金繰りを強力に支援するとともに、「えひめ版協力金パッケージ」により、3密回避や新ビジネス展開等、県内事業者の前向きな取組みを後押しするほか、県内宿泊旅行代金の割引などにより、地域経済を下支えしてきたところ。
 また、非対面・非接触等の感染予防を織り込んだ新しいビジネススタイルの定着や事業者の経営基盤の強化に繋がる設備導入等への補助制度を新たに創設するとともに、感染拡大予防ガイドラインに基づく各団体の実践活動の深化・定着を促進するなど、感染防止対策を講じつつ、事業活動を継続する取組みも支援している。
 さらに、人やモノの動きを活性化させるため、観光需要を喚起する宿泊旅行代金割引の継続やWeb商談会、バーチャル展示会をはじめとするデジタル技術を活用した販路開拓・拡大に取り組むなど、引き続き、感染予防を徹底しながら、コロナ禍においても、攻めの姿勢を持ち、地域経済の立て直しに全力で取り組んで参りたい。

問4 新型コロナウイルス感染症の影響により大きく落ち込んだ観光需要を喚起するため、今後、どのように取り組むのか。
【経済労働部長答弁】
 県では、新型コロナウイルス感染症の拡大により深刻な打撃を受けた観光産業の早期回復を図るため、6月から県内宿泊旅行代金の割引を実施しており、8月までに発行した6万6千人泊分は全てご利用いただいているほか、宿泊事業者等による受入環境整備や魅力的な宿泊プランの造成・販売など、観光関係事業者の自主的な取組みを支援してきたところ。
 加えて、各市町による独自の取組みなどの成果もあり、5月に前年比約3割まで落ち込んでいた県内主要観光施設の観光入込客数は、6月には約6割、7月及び8月には約7割まで回復しており、県としては、これまでと同様、旅行者及び観光関係事業者の双方に、感染予防及び感染防止策の徹底を呼び掛けるとともに、全国の感染状況を見極めながら、県内宿泊旅行代金の割引を引き続き実施し、更なる旅行需要の喚起を図る所存。
 また、今後は、安全・安心を重視する旅行者の意識変化に即応し、サイクリングや現在整備中の四国最大級のジップラインなどのアウトドア系のアクティビティを中心とした愛媛ならではの魅力を発信することで、効果的な誘客促進を図り、観光需要の回復をより一層後押しし、地域経済の活性化に繋げて参りたい。

問5 地方移住への関心が高まっている中、今後、本県への移住促進にどのように取り組むのか。
【知事答弁】
 本県では、これまで大都市圏での積極的な移住フェアの開催や移住コンシェルジュの設置、移住者の住宅改修支援など、きめ細かな移住促進施策を展開しており、昨年度、全国移住希望地ランキングで初のトップ10入りを果たすとともに、移住者数も、年間1,909人と5年連続で過去最多を更新するなど、着実に成果を上げているものと実感している。
 また、コロナ禍が長期化する中、本年度から、オンラインでの移住フェアや常設相談を実施しているほか、近年の大都市圏における田舎暮らしへの関心の高まりや、働く場所を問わないテレワークの拡大などの動向に着目し、本県への更なる移住に結びつける新たな戦略のもと、8月補正予算で、他県に先駆けて、テレワーカーをターゲットとした移住施策に取り組むこととしたところ。
 具体的には、デジタルマーケティングを活用し、大都市圏のテレワーカーにえひめ暮らしの魅力を効果的に発信するとともに、市町や民間事業者によるシェアオフィス等の整備や、地域特性を活かした交流・体験メニューの開発等への支援を行うほか、特に、人口減少が著しい南予地域では、企業を対象としたワーケーション誘致や、地域おこし協力隊のOB団体等と連携したテレワーカーの地域定着支援を行う拠点施設の整備に取り組み、本県への新たな人の流れを創出したいと考えている。
 今後とも、市町や関係団体等と緊密に連携し、ゆとりと潤いのある環境の中で仕事と生活を楽しむことのできる「愛媛発の暮らし方改革」を広く情報発信することで、本県への移住・定住の一層の促進に努めてまいるる所存。

問6 学校現場では感染症対策や学習・部活動・学校行事等の学校運営について、どのように取り組んでいるのか。
【教育長答弁】
 依然としてコロナ禍の収束が見通せず、感染リスクと向き合いながら、子供たちの豊かな学びを確保する難しい舵取りが続く中、学校現場では、3密回避など従来の基本的対策の徹底に加え、外部からの感染を防ぐ水際対策や感染発生時における迅速かつ徹底した囲い込みなど、家庭との連携を強めながら、影響を最小限に食い止めるための態勢強化に不断の努力を重ねているところ。
 一方、学習面では、夏休みの短縮や指導計画の見直し等により、県内全ての学校で2学期中には学習の遅れを取り戻せる目処が立っているが、再度の休業措置等に備え、オンライン学習による質の高い学びを確保できるよう、全県立学校への映像機器整備や1人1台端末配備などICT環境の整備や、教員のスキルアップを計画的に進めている。また、部活動や運動会、修学旅行など特別活動等については、「感染リスクを管理しながら可能な限り実施する」ことを基本方針として県教委が作成したガイドラインに基づき、学校ごとに工夫を凝らした取組みが進められている。
 県教委としては、「この一年」が全ての子供たちにとってかけがえのない一年であることを強く意識し、コロナ禍にあっても子供たちが学校生活を楽しみ、幅広い経験を養えるよう、今後とも新型コロナの感染状況等を注視しながら「学びの保障」に最善を尽くして参りたい。

問7 水害対策にどのように取り組んでいるのか。
【知事答弁】
 県では、一昨年の西日本豪雨災害の経験を踏まえ、同様の被害を二度と繰り返さないという強い決意をもって、県政の最重要課題の一つに掲げる防災・減災対策を一層推進するため、ハード・ソフト両面から水害対策に積極的に取り組んでいる。
 ハード面では、浸水被害が発生した河川の改修や甚大な被害をもたらす堤防決壊を防ぐための補強対策に重点を置き、治水機能の強化を図るとともに、治水安全度の向上に即効性のある河床掘削にも継続的に取り組んでおり、今回の補正予算案においても、地域からの多くの要望を踏まえ、本年7月の豪雨等により堆積した土砂の撤去を機動的・集中的に行えるよう、必要な経費を大幅に増額して計上している。
 また、ソフト面でも、河川施設のみでは防ぎきれない大洪水は必ず発生するとの認識のもと、県民の皆さんにためらうことなく避難していただくために、小・中学生への防災教育による自助意識の向上や、登録者数全国1位を目指している防災士の養成による地域防災力の充実に取り組むなど、避難支援策の強化を推進している。
 さらに、今後も懸念される水害の激甚化・頻発化に備え、新たな取組みとして、出水期に入る本年6月から、利水者の協力のもと、既存ダムの利水容量を活用して洪水調節機能を強化する「事前放流」の運用を順次開始しているほか、流域内の住民を含めたあらゆる関係者が協働して水害の軽減を図る「流域治水プロジェクト」を、国や市町と連携しながら策定することとしており、今後とも、多様な水害対策を流域全体で推進することにより、県民の安全・安心の確保に全力で取り組んでまいりたい。

問8 上島架橋事業における岩城橋建設工事の進捗状況と今後の取組みはどうか。
【土木部長】
 4つの島を3つの斜張橋で繋ぐ上島架橋の実現は、島民にとって合併当初からの悲願であり、既に橋で結ばれた3島では、地域の祭りやスポーツ・文化活動における交流の拡大、西日本豪雨災害での断水に伴う応急活動など、様々な面で効果を発揮しており、残る岩城橋についても早期完成が望まれているところ。
 この岩城橋は、高さ130mを超える主塔から、ケーブルを使って左右のバランスを保ちながら、海上約45mの高さに橋桁を張り出していく難易度の高い工事であるとともに、現場では、県外からの作業員も多く、3密回避など新型コロナウイルス対策をより徹底し、慎重に作業を進めている。
 現在、2つの主塔の建設とコンクリートの橋桁の架設が約9割まで進捗し、来月には海上から鋼製の橋桁の架設にも着手する予定であり、来年夏頃、全長735mの本体橋の橋桁が繋がる見込み。
 県としては、岩城橋の完成が、上島町全体の一体化はもとより、地域産業の活性化、観光振興等に大きく寄与するとともに、消防活動や救急搬送の新たな移動手段として、住民の安全・安心の確保につながることから、令和3年度の開通に向け、引き続き、全力で取り組んで参りたい。

問9 プロ野球オールスターゲームの2022年の本県開催に向けて、今後どのように取組みを進めていくのか。
【知事答弁】
 この度の本県で3回目となるプロ野球オールスターゲーム開催決定は、新型コロナによる厳しい日常が続く中で、懸命に頑張っている全ての県民の皆様に、困難を乗り越える勇気や希望、活力をもたらしてくれるものと確信しており、これまでの開催と同様に大きな経済効果も期待できることから、大変うれしく思っている。
 今回は全国各地から名乗りが上がり、激しい誘致合戦となったが、県、市町、スポーツ団体、経済団体など、全県を挙げて「野球王国・愛媛」の知名度向上等に取り組んできた「愛・野球博」事業が、日本野球機構や球団等の関係者から高い評価を受けたことが大きな決め手となったと聞いており、今年度末までの3年間としていた同事業を2年間延長するとともに、今回のオールスターゲームをその集大成と位置付け、更なる強固な連携のもと、着実に準備を進めていきたいと考えている。
 このため、愛・野球博実行委員会内に県及び全市町の担当者で構成するプロジェクトチームを早期に立ち上げ、県内全域での機運醸成や盛り上げの具体策を企画・展開することとしているほか、過去2回の名場面などを収録したPR用特別番組の制作やプレイボールイベントを実施することとし、必要な経費を今回の補正予算案に計上したところであり、引き続き、県民の皆様に大いなる感動をお届けできるものとなるよう、様々な工夫を凝らした取組みを積極的に検討・展開して参りたい。

2018年(平成30年度)9月26日定例県議会議事録

福羅浩一 一般質問、インターネット録画中継

問1 平成30年7月豪雨災害について

(1)応急修理の早期施工に向けて、県はどのように取り組んでいるのか。

【保健福祉部長】

 県では、市町と連携して、被災者に対する応急修理制度の周知や修理に関する情報提供などに努めてきたところであり、災害救助法を適用した県内7市町では、9月20日現在、2,037件の応急修理の申込を受け付けており、特に申込みが多い大洲市及び宇和島市では、他県及び県内他市町職員の応援を得て、早期発注に努めている。
 しかしながら、修理に当たる地元業者が対応できる事業量には限界があるため、業者からの見積書の提出は、申込みの約68%の1,390件、発注は約64%の1,306件に留まっている。県では、早期の業者選定・施工を図るため、県と協定を締結している中小建築業協会を通じ、県下全域で、信頼できる施工業者を募集し、特に被害の大きかった大洲、宇和島、西予の南予3市に紹介するマッチング事業を9月から実施しているところであり、県としては、今後とも、3市における応急修理の重点的な支援に努め、被災者が早期に自宅での日常生活を取り戻すことができるよう全力で取り組んでまいりたい。


(2)避難勧告・指示の伝達方法と発令時期はどうであったか。また、効果的な避難につなげるため、住民の意識啓発も含め、どのように取り組むのか。

【防災安全統括部長】

 今回の豪雨災害において、市町は避難勧告や避難指示を、防災行政無線の屋外型スピーカーや戸別受信機、消防団等による戸別訪問で呼びかけたほか、緊急速報メール、コミュニティFMやCATVなど、多種多様な情報ツールで住民に伝達している。集中豪雨となった7月6日から7日の避難勧告・指示の発令時期は、被害が大きい宇和島、西予、大洲、松山、今治の5市では、6日夜のはじめ頃から7日朝で、未明や明け方にも発令されたところ。
 こうした伝達方法や発令時期については、報道等でもその効果やタイミングなど様々な課題が指摘されていることは県としても認識しているが、一方で、防災行政無線の戸別受信機による呼びかけや、自主防災組織等による早めの避難誘導で人命が守られた事例もあり、今後、関係者や専門家の意見を聴いてソフト、ハード両面から幅広く分析・検証を行い、得られた教訓を基に避難情報の伝達や発令方法について検討してまいりたい。
 また、住民が、速やかに適切な避難行動を起こせるよう、住民への防災意識啓発講演、自主防災組織の活動支援やその核となる防災士の養成などにより自助・共助の取組を一層促進し、効果的な避難につなげてまいりたい。


問2 行革甲子園2018の成果を踏まえ、県内市町における行革推進を今後どのように支援していくのか。

【知事】

 行革甲子園は、削減ありきの暗いイメージの行革を明るく前向きに捉え、各自治体で懸命に創意工夫を重ねてきたノウハウを広く共有・活用することで、行革を通じたより良い地域づくりに結びつける取組みとして全国に発信し、定着してきたと、大きな手ごたえを感じている。
 今回の行革甲子園では、応募141件中、AIやIoTなどの活用事例が多く、当日の発表でも、ICTや定型的業務を自動化するロボティック・プロセス・オートメーションを活用した先進事例が紹介されるなど、限りある人的資源の中で、時代を先取りした斬新な発想や技術を果敢に取り入れ、行政のイノベーションを図ることが重要であることを再認識した。また、特別企画として発表いただいた台湾・台北市の事例により、これまでとは違った発想に触れ、行革の種に新たな視点を加えることができたと考えている。
 県としては、自治体の様々な行革事例が他の地域にも共有・活用され、更に磨きをかけることは、限られた資源で行政サービスを提供していくためには極めて有効と考えており、引き続き行革甲子園の開催等を通じて、全国の優良事例の収集やノウハウの吸収、情報提供に努めるとともに、優良事例の横展開や自治体間の連携・共同化を促進するなど、行革先進県愛媛を確固たるものにできるよう、県内市町における行革推進を積極的に支援して参りたい。


問3 福井国体における本県の成績の見通しはどうか。

【スポーツ・文化部長】

 今年の福井国体における本県の目標については、岩手県が国体開催の翌年にえひめ国体で残した成績14位を上回る13位に設定し、選手強化等に対する支援を継続するなど、将来に亘って全国上位の成績を残せるよう努めており、8月のインターハイにおいても過去最高の58件で入賞を果たすなど、ジュニア世代も確実に力を付けてきている。
 福井国体については、今月9日から開催された会期前競技において、ビーチバレー男子が国体2連覇、ハンドボール少年女子が4位入賞など嬉しい結果も届いているが、一方で「えひめ国体までは現役で」と頑張ってくれていた選手が引退するなど、世代交代の時期にある競技も多く、また、福井国体での活躍を期待していた競技が四国ブロック予選で思わぬ敗退をするなどの取りこぼしもあった。
 13位という目標達成には、今週末から開幕する福井国体本番での選手達の頑張りが必要であるが、選手たちは「活躍する姿をお見せすることで、豪雨災害で被災された方々や県民の皆さんに元気を届けたい」との強い気持ちを持ってくれており、現在、万全の状態で競技に臨むべく最終調整をしているところである。県民の皆様方には617名の本県選手団が持てる力を十二分に発揮できるよう、えひめ国体の時と同様に熱いエールを送っていただきたい。


問4 チェジュ航空の運航開始から現在までの経済効果や利用客の路線に対する評価はどうか。また、今後増便分も含めて路線を維持するためにどう取り組むのか。

【知事】

 ソウル線の経済効果は、就航前に民間シンクタンクが週3往復・搭乗率80%の条件で年間約6億9千万円と試算していたが、今年6月までの平均搭乗率が90%を超え、7・8月の増便もあり、試算を上回る経済効果が見込まれる。この路線は、割安な料金設定に加え、“都会から地方都市”という韓国の訪日旅行のトレンドを追い風に、特に韓国人観光客から高い評価を得ており、旅行後のアンケートでは9割以上の方から再度訪問したいとの回答を頂いている。
 今後県では、増便後の安定運航を支援するため、本県の最新の観光・グルメ情報を、チェジュ航空会員向けメルマガ等で発信するとともに、韓国テレビ番組や観光施設等特典紹介サイトの制作等を通じて、冬場の更なる需要の掘起こしや南予地域等への周遊促進を図るほか、アウトバウンド比率4割を目標に、若者のパスポート取得を後押しする「初めての海外旅行応援キャンペーン」の対象年齢を引下げたほか、SNS等でのプロモーション強化による家族旅行・卒業旅行での利用拡大、韓国進出企業等へのビジネス利用の働きかけ強化に取り組む予定。
 引き続き、チェジュ航空との関係を密にし、情報共有や協議を定期的に行うとともに、新規利用者やリピーターの掘起し等に継続的に取り組み、路線維持に努めて参りたい。


問5 県内小中学校のエアコン設置状況について、県はどのように考えているのか。また、市町の設置促進に向けて今後どのように取り組んでいくのか。

【教育長】

 県内公立小中学校のエアコンの設置については、学校設置・管理者である各市町が立地条件や周辺環境など地域の実情に応じて整備を進めているが、平成29年4月の普通教室における設置率は5.9%、全国で41位に止まっている。これは、各市町において、これまで耐震化に最優先で取り組んできたことや、エアコン設置には大きな財政負担を要することなどが主な要因であると考えている。
 こうした中、松山市、上島町、伊方町、松野町においては、今年度末までにすべての小中学校の普通教室にエアコンの設置を完了する予定であるなど、記録的な猛暑といった近年の厳しい気象条件を踏まえ、各市町において計画的な整備に向けた動きが加速しており、今年9月時点の普通教室の設置率は34.1%、年度末には40%を超える見込みである。
 県教育委員会としては、児童生徒の健康への配慮や快適な学習環境の確保の観点から、学校のエアコンの設置促進は喫緊の課題と認識している。国においても、小中学校のエアコン設置に対する財政的支援を拡充する動きもあることから、その動向を十分注視しながら、各市町への訪問や市町間での情報交換の場の設定などにより、設置状況の把握・提供に努め、着実かつ速やかな整備を積極的に働きかけてまいりたい。


2017年(平成29年度)11月30日定例県議会議事録

福羅浩一 一般質問、インターネット録画中継

問1 今治市の大学獣医学部について

(1)今治市への支援額と妥当性についてどのように考えているのか。

【企画振興部長】

 今回の今治市における獣医学部の新設については、文部科学大臣の諮問機関である大学設置・学校法人審議会において、教育課程や組織、校舎等に関する大学設置基準をはじめ、財政計画や管理運営に関する私立学校法への適合性などについて、約8か月にわたり専門的見地から厳正な審査を経て、責任感を持って認可されたものと認識している。
 また、今治市は、事業の妥当性や安全性を検証するため、大学教授や建築士、弁護士、公認会計士からなる第三者委員会を設置し、県もオブザーバーとして参画して、校舎建設や設備など整備事業費の精査はもとより、細菌等を扱う実験施設の安全性や経済波及効果の妥当性、補助金交付決定や土地無償譲渡の手続きの適法性に加え、大学の財務状況や市の財政見通しに至るまで、事業全般において、年内を目途に結論を出す方向で、適正かつ客観的な審査が行われているところ。
 県としては、今回の獣医学部誘致が、公務員獣医師の安定確保はもとより、若者の地元定着や産業振興に繋がる画期的な地方創生プロジェクトと認識しており、今治市の第三者委員会の審査結果を受けて、関係部局の専門的知見も生かしながら、事業費の妥当性を十分精査した上で、支援額の検討を進めて参りたい。


(2)県職員獣医師の処遇改善にどのように取り組んでいくのか。

【総務部長】

 本県獣医師職員については、近年、採用試験において受験者が採用予定数に満たない年もあるなど、人員確保に苦慮している状況にあり、これまでも、人事委員会報告を踏まえ、獣医師職員に対する初任給調整手当を創設するなど、人材確保の観点から処遇改善に努めてきたところである。
 本年の人事委員会報告において、初任給調整手当については、獣医師職員の職務の専門性や困難性の増大などにより、更なる人材確保対策のため、手当額を引き上げるよう言及されたことから、他の都道府県の状況を踏まえ、採用初年度で手当額を月額約3万円から5万円に、また、支給期間を10年から15年とするなど、在職者も含めた処遇改善を実施する条例改正案を今議会に提案している。
 今回の獣医学部の開設については、将来的に、受験者の増加に繋がるものと期待しており、引き続き、全国獣医系大学への働きかけのほか公衆衛生や畜産分野におけるインターンシップ生の受け入れに取り組むとともに、人材確保の観点からの処遇改善について、人事委員会勧告等を踏まえて適切に対応して参りたい。


(3)獣医学部に関連した各種研究機関や製薬会社、食品関連会社等の誘致について、どのように考え、今治市と連携してどのように取り組んでいくのか。

【経済労働部長】

 獣医学部の新設は、慢性的に不足している公務員獣医師の安定確保や、学生や教員などの大学関係者の定住による経済波及効果のほか、新薬の開発等を行う先端ライフサイエンス企業等の県内集積や、本県ブランド畜産物の開発など、本県産業の振興につながることも期待されるところ。
 県では、特に、世界的に発展著しく、市場規模の大きい、医薬品や食品等を対象とするライフサイエンス産業は長期的に成長可能性の高い有望分野であると認識し、これまでも企業誘致のターゲットに位置付けてきたところであるが、獣医学部の新設により、ライフサイエンス産業の開発・研究の現場で活躍が見込まれる獣医療の専門知識と技術を持った人材供給が可能となることから、本県の強みとして優位性を持つことになると期待しているところ。
 既に今治市においても、ライフサイエンス関連産業の誘致に取り組む方針と聞いており、県としても、獣医学部新設を契機に、同市と緊密に連携して、卒業生の地元定着や、本県産業の振興、地域活性化につながるような企業や研究機関等の誘致に努力して参りたい。


問2 県立高校において、国際的に活躍できる能力・資質を持った人材の育成にどのように取り組んでいるのか。

【教育長】

 県内企業をはじめ我が国産業が、優れた技術力や品質を活かして激化する国際競争に打ち勝つためには、国際的に活躍できる担い手が不可欠であり、県立高校においても、日本人としてのアイデンティティと国際感覚を備え、英語によるコミュニケーション能力を発揮しながら、主体的に行動できるグローバル人材を育成することが重要と認識している。
 このため、県教育委員会では、スーパーグローバルハイスクールに指定された松山東高校や宇和島南中等教育学校をはじめ、今治北高校や西条高校等で、海外フィールドワークやスタディツアーの実施などにより、国際感覚の涵養に努めるほか、海外への留学や修学旅行の促進、台湾の学校との姉妹校提携や海外高校生の日本語スピーチコンテスト開催等による異文化の理解促進にも力を入れている。
 さらに、民間の語学検定試験の受験支援や英語教育推進校でのオンライン英会話学習の導入など実践的な英語能力向上に向けた特別対策事業等も積極的に推進しており、今後とも、本県高校生が、地域や日本に根差した国際的視野を持つ人材として、ふるさと愛媛と日本の発展に貢献できるよう、総合的な取組みを展開してまいりたい。


問3 えひめ結婚支援センターのこれまでの運営実績はどうか。また、今後どのような取組みを進めていくのか。

【知事】

 えひめ結婚支援センターでは、ビッグデータやITの活用と、ボランティアによるきめ細かなフォローアップを組み合わせた「愛媛方式」と呼ばれる独自のマッチングに加え、幅広い企業・団体の協力のもと、年間約240回に上る多彩な婚活イベントを展開し、センター開設後9年間で成立したカップルは11,826組、結婚報告は850組に達するなど、全国トップクラスの成果を上げており、各自治体からの視察が相次ぐほか、四国3県をはじめ13県でも同システムの導入が行われるなど、多方面から高い評価を得ているところ。
特に、今年度は、初めての取組みとして、20歳代の若手社会人を中心に、職域や業種の枠を超えた出会いの場を提供するため、先般、大規模な異業種交流イベントを開催し、県内36の企業・団体から約500名の参加を得たところであり、今後は、イベントの企画・運営を担った参加企業等の職員がリーダーとなり、少人数グループでの交流を継続することとしており、このような主体的な取組みが、結婚に向けた自然な流れにつながることを期待している。
 さらに、現在8市に設置している「愛結びコーナー」を、来年1月には12市町に拡充し、県内各地域で利用できるようにするほか、新たに、松山市内中心部にサテライトセンターを開設し、イベントや各種セミナーに関する情報発信に加え、若者の交流の場としての機能の強化を図ることとしており、今後とも、結婚支援センターを核に、市町や企業、団体等との連携のもと、様々な出会いの機会を提供することにより、若い世代はもとより、結婚を希望する方々の思いが実現できるよう、支援に取り組んで参りたい。


問4 今回の台風18号を含め、本県における近年の公共土木施設の被害状況はどうか。また、災害復旧対策にどのように取り組んでいくのか。

【土木部長】

 本県では、過去10年間の平均で229箇所、約21億円の公共土木施設の被害が発生しているが、今年は、その中で最大となる561箇所、約65億円にのぼっており、台風18号による被害が約8割を占めている。
 これらの復旧にあたっては、災害復旧制度を活用し、国の災害査定を受けて工事を実施するが、河川堤防が決壊した場合など、緊急な対応が必要な箇所では、査定を待たずに、発災直後から応急工事に着手している。
 また、大規模な災害の発生時にも迅速に対応できるよう、被災状況を調査するドローンの配備や、復旧工法の選定を支援する「公共土木施設応急復旧ガイドライン」を策定したほか、県や市町職員、さらには現場で復旧にあたる建設業者等を対象とした技術講習会の開催や、被災地の人員不足を補う災害応援チームの事前編成など、復旧のための体制を強化してきたところである。
 今後とも、災害を未然に防止するための防災・減災対策を着実に進めることはもとより、災害が発生した場合には、国や市町、関係団体と連携を図り、公共土木施設の早期復旧に努めて参りたい。


問5 えひめ国体・えひめ大会を終え、愛媛らしさあふれるおもてなしの成果をどう受け止めているのか。

【知事】

 えひめ国体・えひめ大会では、県内外から延べ79万人の参加をいただいた。期間中は松山空港やJR松山駅に総合案内所を設置し、来県者への情報提供や県産品のPR等を行ったほか、県内の大半の小中高校で「歓迎のぼり」や「装飾用の花」を作成、延べ8千人の小・中学生が都道府県応援団として開閉会式を盛り上げ、2万人近い県民の皆様にはボランティアとして活躍いただくなど、県民総参加の国体・大会となった。
 また、愛媛らしさ満載のおもてなしを実施するため、県総合運動公園に「みきゃん広場」を設置し、期間中約15万人と、昨年の岩手13万人、一昨年の和歌山8万人を大きく上回る人出で賑わったほか、各競技会場でも市町が主体となって地域色溢れる「おもてなし広場」を開設するなど、県産食材や物産、観光資源等をPRした。
 各競技会場では、多くの県民や5万人近い小・中学生が選手たちを応援、1700人の選手団サポートボランティアが選手たちと終始行動を共にするなど、各地で「愛顔」の触れ合いが見られた。さらに、5年ぶりの実施となった4市町での民泊においては、選手と地元住民が家族のように交流を深め合う光景も数多くあったと聞いている。愛媛ならではの「おもてなし」を実感していただけたことで、多くの愛媛ファン獲得や魅力発信につながるとともに、参加されたすべての方々の心に深く刻まれた国体・大会になったと思う。

2017年(平成29年度)3月3日定例県議会議事録

福羅浩一 一般質問、インターネット録画中継

問1

(1)農業振興基本方針に掲げた目標の達成に向けた取組状況はどうか。

【農林水産部長】

 えひめ農業振興基本方針2016では、農業の成長産業化と農村地域の活性化を両輪に、農業産出額1,200億円の維持を目指すほか、農業に対する負のイメージの払拭や多様な担い手の確保などに向けて、農林水産業体質強化基金も活用しながら、積極的にチャレンジする農政を展開している。
 これまでの主な取組状況としては、生産基盤の整備促進はもとより、「愛媛クィーンスプラッシュ」や「愛媛あかね和牛」などオリジナル産品のブランド化、機能性や地理的表示GIの活用、鳥獣害対策としてのジビエの振興など、生産力や販売力の強化に取り組んでいるほか、順調に増加している「愛顔の農林水産人」や「一次産業女子ネットワーク・さくらひめ」等を活用した本県農業の魅力発信にも努めている。
 また、今回の当初予算案では、JAが行う包括的な新規就農対策や畜産関連施設の整備支援など、担い手対策の充実を図るとともに、「さくらひめ」や「紅い雫」の生産拡大などにも取り組むこととしており、引き続き、市町や関係団体等と連携しながら、生産者の挑戦や努力が報われる「愛顔あふれるえひめ農業・農村の実現」に向けて、本県農業の更なる体質強化に取り組んでまいりたい。


(2)新規就農者数の増加と定着率向上を図るため、新規就農者の効果的な呼び込みと就農後のフォローアップの充実・強化にどのように取り組んでいくのか

【知事】

 農業従事者の大幅な減少と高齢化が進行する中、将来の愛媛農業を支える担い手の確保は極めて重要な課題であり、一人でも多くの新規就農者を確保するためには、次代を担う青少年や移住希望の都市生活者などに、本県農業の魅力を効果的に発信し、就農意欲を喚起していくことが必要と考える。
 このため、県ではこれまで、県内外での就農相談会や就農前後の技術研修、経営開始に必要な農業機械導入や小規模基盤整備等への助成など、掘り起こしから就農・定着に至る幅広い支援に加え、地域で活躍する「愛顔の農林水産人」の紹介や中学校での体験学習に取り組むほか、就農に係る「ワンストップWebサイト」の開設やワーキングホリデーの実施、日本農業遺産認定への取組等みを通じて、本県農業のイメージアップや地域ブランドの向上を図りながら、就農増加につなげるべく情報発信を強化しているところである。
 また、今回新たに、地域農業に最も精通するJA等の主体的な取組みを支援する事業を創設し、受入体制の充実や就農相談、技術研修に加え、就農後も安心して営農に取り組めるよう、農地や住居の斡旋、営農基盤の整備、経営安定までの収入確保など、きめ細かく包括的にサポートしながら、愛媛農業を支える新規就農者の確保に努めて参りたい。


問2 本県への更なる移住を促進し定着を図るため、今後、どのように取組みを強化していくのか。

【企画振興部長】

 本県では、県外からの移住を促進するため、移住コンシェルジュの配置や県単独フェアの開催、市町と連携した住宅改修支援に加え、移住者を企業がサポートする「えひめ暮らし応援隊」の創設など、情報発信から相談対応に始まり、就業・住まいの確保、確実な定着まで一連の施策を総合的に展開しており、今年度12月末までの移住者数は377人と、既に昨年度の274人を上回るなど着実な成果を上げている。
 来年度は新たに、移住者と受入地域が互いに理解を深め、移住後のミスマッチを防ぐため、受入先となる市町や地域と連携し、6泊7日の日程で移住希望者が、豊かな自然・文化・食に直接触れるとともに、農業体験や先輩移住者との交流などを通じて、仕事や住環境を含め具体的な生活イメージを体感してもらう「地域滞在型ツアー」を実施したいと考えており、当初予算案に所要の経費を計上しているところである。
 県としては、今後とも、市町はもとより企業や地域住民と一体となって受入態勢を一層強化しながら、県内紙おむつメーカーと協働で実施する「愛顔の子育て応援事業」など、本県の強みを生かした独自の取組みもアピールし、「オール愛媛」の体制で、戦略的かつきめ細かな移住施策を展開してまいりたい。


問3

(1)えひめ営業本部の本年度の活動実績はどうか。また、部局横断的な取組みを含め、今後どのような営業活動を展開していくのか。

【知事】

 営業本部の昨年12月末時点での県関与成約額は73億2,000万円で、今年度の目標額90億円に対する進捗率は約81%と、目標達成がほぼ確実な状況となっており、オール愛媛体制で意欲的に活動された県内の生産者や事業者、関係団体の取組みの成果であるとともに、今年度中に平成30年度の目標としている100億円、これを前倒しで達成する気概を持って、最後の追い込みに総力を結集したいと考えている。
 今後はフォロー営業に重点を置きながら、名古屋、札幌、仙台などでの販路拡大、海外ではターゲットを絞った活動を展開するとともに、6次産業化、農商工連携支援、試験研究機関による技術開発などを通した「売れる」商品づくりやブランド産品の安定供給体制の構築にも取り組むなど、営業本部の横串機能を発揮した対策を強力に推進したいと思う。
 また、経済情勢の先行き不透明感が増す中で、今後も安定した成果をあげるため、「オール愛媛」体制の強化を図るとともに、海外通販サイトの活用や卸売事業者との営業面での連携など、マンパワーのみに頼らない営業手法の確立を模索するほか、県内事業者等のさらなる意欲を喚起するなど、「補助エンジン」として、「実需の創出」による地域経済の活性化に全力で取り組む所存である。


(2)「さくらひめ」プロジェクトの狙いや事業の実施状況、今後の計画はどうか。

【営業本部長】

 このプロジェクトは、県が開発したご覧の「さくらひめ」の姿や名称が可憐で清々しい女性や日本を連想させ、古事記由来の県名を持つ本県にふさわしい呼称であることから、この良いイメージを活かしたものづくりや販売戦略を展開することで、商品と地域のイメージを共鳴させ、共に価値を高める「地域ブランド」の確立を目指すもの。
 今年度は、航空会社や著名な華道家との連携による花の魅力発信と大手花き販売業者への営業活動などを実施するとともに、ものづくりにおいては、20~40代の女性をターゲットに、愛媛ならではの真珠やタオルなどをベースに花からイメージされる11商品を開発し、首都圏の展示会に「さくらひめ」をコンセプトとしたブースを出展した。
 その結果、バイヤー等からブランドイメージを高く評価されるなど、確かな手ごたえがあったことから、今後は、商品ラインナップの充実、SNSでの情報発信や女性向けイベントへの出展などによるターゲット層への浸透と顧客の獲得に努め、「地域ブランド愛媛」の確立を図ることで実需の創出につなげてまいりたい。


問4 土砂災害から県民の生命を守ることを最優先としたソフト対策の現状や今後の取組みはどうか。

【土木部長】

 県では、広島市の土砂災害を教訓に、住民が早期避難できるよう、まずは、地域の土砂災害の危険性を認識して頂くため、土砂災害警戒区域等の指定に必要な基礎調査を31年度の完了に向け計画的に進めるとともに、危険性を周知するため、昨年度から調査結果を全戸に配付している。
 また、豪雨などの異常気象時において、住民の避難や市町が避難勧告等を発令する際の目安となる土砂災害警戒情報を松山地方気象台と共同で発表し、テレビや県のホームページ等を通じてお知らせするとともに、関係市町へは県から直接情報を伝えている。さらに、避難に時間を要する高齢者などの要配慮者も含めて、住民が円滑かつ迅速に避難できるよう、市町・消防などと共同で避難訓練を継続して実施している。
 29年度は、これまでの調査箇所と合わせ県内約1万5,000箇所の全ての土砂災害危険箇所で基礎調査に着手し、うち約8,000箇所の調査を完了させる他、市町が地区単位での避難勧告等を的確に発令できるよう支援したいと考えている。今後とも、ソフト対策の更なる充実を図るとともに、砂防堰堤などのハード対策も着実に進め、土砂災害に強い県土づくりを目指してまいりたい。


問5 私立幼稚園が質の高い幼児教育を提供していくには、優秀な人材の確保が必要であり、運営費補助金の充実を図るべきと考えるがどうか。

【保健福祉部長】

 幼児教育は、生涯にわたる人格形成の基礎を築くとともに、健全な発達を促す上で、大きな役割を果たすものであり、本県の幼児教育の中核的な役割を担っている私立幼稚園の安定的な運営と優秀な人材の確保は、質の高い幼児教育を提供する上で、重要な課題と認識している。
 県ではこれまで、保護者の負担軽減等を図るため、私立幼稚園の運営費補助金について、国の補助単価に独自に上乗せ補助を行ってきたところであるが、国では、来年度から、私立幼稚園の教員確保に向けた新たな支援制度を設計しているところであり、県としても、その結果を踏まえ、運営費補助金の充実を図ることとしている。
 なお、現在、国会で継続審議中の「幼児教育振興法案」には、人材の確保や教育の質の向上に向けた施策が盛り込まれており、その動向を注視するとともに、すべての子どもに質の高い幼児教育を受ける機会が保障されるよう、幼児教育無償化の早期実現を、引き続き、全国知事会を通じて強く要望してまいりたい。


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